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滋賀の鍼灸整骨院が「育児きっかけで発生した腰痛と頭痛」を治療したときの話。


2014年に初めて来院された育児きっかけで発生した腰痛と頭痛をお持ちのお母さん。

来院されたきっかけはホームページの内容が良さそうに感じ、また通院が便利と言うことで選ばれたようです。

主訴は腰痛と頭痛で、この方の場合、半年前にお子さんをご出産されて、毎日育児でお忙しいとおっしゃいます。

・お子さんをベビーカーに乗せて散歩に行く。
・おんぶや抱っこをする。
・初めて経験することなどなど。

とにかく初めてのことが多く、身体にも大きな負担がかかると訴えていました。しかし、お子さんがいると毎日の生活が楽しい、生活が充実していると笑顔でお話しされます。

いつごろから症状があるのか、なぜこのようになったのかを聞いてみますと、育児をする前から腰痛や頭痛、肩こりは持っていたが、育児を始めてからひどくなったとおっしゃいます。お子さんを抱いたり降ろしたりの動作で腰が痛くなり、また授乳時に抱きかかえていますと、首や肩、背中まで痛くなってくるそうです。

首や肩が辛くなってくると、後頭部のあたりに頭痛が発生し、締め付けられるような感じになるとも。

この締め付けられる痛みは一旦始まると、半日くらい続き、我慢できない時は、頭痛薬を服用されるそうです。最初の頃は、薬を服用したらすぐ痛みは治まりましたが、最近はあまり効かなくなったと訴えます。

しかも腰痛のほうは、湿布を貼りしのいでいましたが、こちらも最近は湿布では全然楽になってこないようです。


頭痛・腰痛への滋賀県の鍼灸整骨院の治療の全流れ、綴ります


治療1回目

まずは腰のチェック。仰向けになってもらい、膝を立て左右に倒しますと、左に倒しても右に倒しても、左の腰が痛い、引っ張られると訴えます。左の腰が硬くなっていることがわかります。また骨盤を触らせてもらうと、左の骨盤が前にせり出し倒れていて、アンバランスな状態でした。骨盤の高さの左右差は、2cm位の大きな差があります。

次に頸椎のチェックを行います。首を左右に回してもらい、どちらが行きにくいかを診ますと、左に回すと首が突っ張り、痛みが出るようです。左の首が固まり、動きが悪いため、頭痛が発生しているものと思われます。腕を上げてみましても、左の腕は重く、しっかりと上がってきません。

そこで治療は、骨盤と腰の関節=腰仙関節と、仙腸関節、頸椎1番、1番の肋骨の治療を行いました。

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首、肋骨に関する治療内容

仙腸関節の関節包内運動を整える際、当院では骨盤を同時に調整します。骨盤を動かす時に、まるで蝶々が羽ばたくように仙骨が動き出すからです。この患者さんの場合、左の骨盤が前に倒れていました。ですので、骨盤を後ろに回すと同時に、仙骨を足の方へ動かします。これにより、骨盤が後ろに戻り、左右の高さの差を揃えることが可能になります。

また頸椎は、第1頸椎の左が前へ行き、右が後ろへ行きねじれています。ですので、仰向きになってもらい、首の下に手を入れ、その状態のまま第1頸椎だけを動かします。数ミリだけ動かしねじれを取った後で、頸椎と後頭骨の環椎後頭関節を調整し、関節包内運動を整えます。

治療後、足を倒す検査をしました所、痛みなく左に倒すことができます。また、首もしっかりと左に回すことが可能となりました。腕も軽く上がります。身体がしっかりと変化してきましたので、また来週まで様子をみてもらうことにしました。


治療2回目

この1週間調子はどうだったか尋ねた所、腰はだいぶ楽に動けるようになったとのことでした。

抱っこをする時も楽に持ち上げることができますが、もう少し腰が突っ張るようです。

また、頭痛の方は、頻度は減ってきたが、もう少しすっきりしないと訴えます。

骨盤の方を触診しました所、左右差はまだ1cm以内とまではなっていませんが、前回よりは、差が少なくなってきています。少し改善してきている様子です。

また、頸椎を触診しました所、もう少し後頭骨と頸椎の関節が引っかかって動きが硬いようです。どこか他の部位にも障害箇所がないか探していると、鎖骨や第1肋骨もだいぶと固まっていることがわかりました。これは、斜角筋という筋肉が原因で、関節がうまく動いていない状態を表しています。

斜角筋は、首の横にある筋肉で、腕の使い過ぎや、悪い姿勢、同じ姿勢を続けますと硬くなり、頸椎に影響を与えます。この患者さんの場合頸椎、後頭骨の関節だけでなく、斜角筋にも障害があるということがわかりました。ですので、今回は前回の治療と共に、斜角筋の治療も行うこととしました。

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斜角筋は第1肋骨の調整が重要となります。なぜなら、斜角筋は第1肋骨に付着しているからです。腕を上げる時に肋骨は一緒に動きますので、腕を動かしながら肋骨を調整し、さらに斜角筋をゆるめる治療を行い、また一週間様子をみてもらうこととしました。


治療3回目

この一週間の調子をお伺いしたところ、腰痛もだいぶ気にならなくなり、頭痛もだいぶ良いとおっしゃいます。前回の斜角筋の治療が、功を奏したようです。

ただ、この一週間で一回頭痛があったということでした。治療効果はでているようですので、同様の治療を継続したいと思います。

治療4回目とその後

また一週間空けてもらい、様子を伺いました。そうしますと、腰痛も頭痛もほぼなかったということでした。調子もよく、子育ても順調にいっている模様です。

こちらも一安心ということで、その後は2週間後に来てもらい、次は3週間、その次は一ヶ月と日を伸ばしながら治療を行い、10回ほどで治療一旦終了となりました。また、調子が悪くなったら来院されるということです。


なぜ育児をすることで頭痛と腰痛になってしまったのか?


今回の症例は、育児による腰痛と頭痛ということでしたがなぜ育児で症状がひどくなったのか?

まず育児の時の腰痛は、産後の骨盤の状態に大きく影響されます。骨盤が広がり、前後にねじれ、高さの左右差が1cm以上ありますと、腰痛は出やすくなると言えます。

広がった骨盤は、産後1年以内でしたらまだ靭帯が柔らかいので、治療で閉じやすいと言えますが、1年を経過している場合、閉じるのに時間がかかってしまうようです。1年以上経っている人は、1年以内の人に比べ、大体2、3倍は治療回数がかかると思われます。出産後の骨盤矯正ベルトはもちろん必要ですが、それだけでは十分閉じてこないという方も多いようです。

しかし、前後のゆがみは4,5回の治療で改善してくると言えます。絶対とは申しませんが、前後のゆがみを整えれば、多少の広がりはあるにしても痛みは改善してくるのです。


骨盤の左右差は、腰痛がある人でもない人でもあるのが当然です。

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腰痛、股関節痛の症状がない正常な方でも、骨盤の高さの左右差は必ずあります。ガイ骨の模型のように、高さがきっちり合っている方は見たことがありません。ですので、日常生活を送っていれば、左右差はあって当然なのです。

しかし、その高さの差が1センチ以上開きますと腰痛として発生してきます。ですので、左右の高さの差を位1cm位内にとどめておく事が、骨盤の治療で大事なことと言えるのです。

本来は身体の自然治癒力で、ねじれも戻りますが、あまりに大きな負担がかかりますと、自然治癒力だけでは対応しきれません。そのような時に、頭痛や肩こりが症状として起きてしまうのです。


女性に多い胸郭出口症候群!頸椎のねじれの調整が必要!

首は、いつも同じ方向にだけ力がかかるということを繰り返しますと、頸椎がねじれます。特に、頸椎の一番上の骨、第1頸椎は臨床上ねじれていることが多く見受けられます。この第1頸椎のすぐ上には、後頭骨が乗り、頭を支える分負担が大きいためです。ですので、この第1頸椎のゆがみがしっかり取れるかが頭痛の治療にとって必須と言えます。


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首では、斜角筋が原因となる胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)という疾患も女性に多い病気です。

これは、斜角筋が原因となり、頭痛、肩こり、手のしびれなどの症状が出てくる疾患です。この場合は、頸椎のねじれを調整するとともに、1番の肋骨や鎖骨をしっかりと調整することで改善が可能となります。

当院では、産後の腰痛や頭痛、肩こりに関しまして、骨盤の調整は元より、頸椎や肋骨、鎖骨を調整することにより、育児を楽に快適に行えるよう貢献していきたいと考え、治療に日々奮闘しています。


  • この記事を書いた人

  • 岸野洋人

  • 滋賀県野洲市きしの鍼灸接骨院の院長。学生時代にいつまでも治らない腱鞘炎に困り果て、その症状を治した鍼灸治療から治療家の道に。夢は治療をしながら世界を回ること。
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